皆様こんにちは!しゃふと屋 リサーチ担当のミスターXです。
今日もまた、日本が誇る日産の名車、S13、S14、S15 そして、180SXに関するブログとなります。
タイトルは、なぜあなたのドライブシャフトは折れ続けるのか。ということで、上記車両のドライブシャフトに関する個人的見解をブログにできればと思います。
まず、対象となるのは競技車両ではなく、車検付き車両や400馬力ほどのライトチューン車両。1000馬力級シルビア系競技車両用向けに用意している競技用ドライブシャフトに関するお話はまた後日させていただきたいと思います。
近年、競技車両のみならず、ライトチューン車両のシルビア系にまで265/35R18などの大径ハイグリップタイヤを装着してドリフトしている方が多くみられる中、トランスミッションやクラッチ、デフ、そして、ドライブシャフトなどのいわゆるドライブトレインにかかる負担は非常に大きくなってきています。
今回はそのなかでもドライブシャフトに着目したいと思います。まず、ドライブシャフト破損が発生する主な原因は下記内容があげられます。
1. エンジン出力、トルク、さらには装着タイヤのグリップ力が純正ドライブシャフトの許容を超えている
2. ドライブシャフト自体の老朽化
3. ドライブシャフトのメンテナンス不足
4. アライメントや車高がドライブシャフトの適正長に合っていない(長すぎる、短すぎる)
5. 使用するクラッチの圧着力が高すぎる
6. 乗り方
1. エンジン出力、トルク、さらには装着タイヤのグリップ力が純正ドライブシャフトの許容を超えている
冒頭でも少し触れましたが近年のハイグリップタイヤ競争により、セミスリックタイヤのような高性能タイヤをリアに装着し、サーキット走行をされる方が多くなってまいりました。純正同等馬力でも、破損をすることが珍しくない純正ドライブシャフトは、400馬力ほどを出力した車両にとっては”ドライブシャフトの対応馬力を超えている”といっても過言ではありません。
2. ドライブシャフト自体の老朽化
1988年に発表されたニッサン S13シルビア。シルビア系最終型となったS15シルビアでさえ、製造されたのは2002年が最後となります。ゆうに20年以上前に製造されているドライブシャフトですので、金属疲労、老朽化が進んでいることは言うまでもありません。
3. ドライブシャフトのメンテナンス不足
その老朽化が進んだ金属、ドライブシャフト。少しでも長持ちさせるにはメンテナンスは必須といえます。グリスの選定も重要で、一般整備などに使用されるメーカー純正グリスなどではなく、耐高温性・耐腐食性に優れたモリブデン系グリスの使用を推奨します。(例: RED LINE CV-2等) 尚、ブーツに亀裂などが入った状態で走行してしまっている場合は、必ず内部等速ジョイント(CVジョイント)を徹底的に清掃し、砂やごみによって傷が入っていないかを確認したうえ、グリスアップをし組み上げて上げること。こうした地味な作業もドライブシャフトの延命につながります。
4. アライメントや車高がドライブシャフトの適正長に合っていない(長すぎる、短すぎる)
文章で説明するのが難しい内容なのですが、これが原因でドライブシャフトを折り続けている方を多く見ます。日産自動車はそれぞれの車体に対し、純正出荷時のサスペンションジオメトリーに対応するようドライブシャフトを設計・製作しています。あなたは、そのサスペンションジオメトリーを”車高調取り付け”や”社外コントロールアーム取り付け”によって、いとも簡単にぶち壊しています笑
例えば、1G状態でリアキャンバーが0度もしくはわずかにポジティブ側にセットされている車両。そして、バンプラバー長の調整がされていたり、スプリングレートが低い、ヘルパースプリングが入っているなど、純正に比較してサスペンション上下動の多い車両は、ドライブシャフト等速ジョイントに負荷がかかり、一定のストローク量を超えたあたりでシャフトが引っ張られてしまう状態となり、破損が多くみられます。下記は車高を純正比50mmほど下げ、キャンバーが0度の車両のドライブシャフト断面図。(gktechウェブサイトより抜粋) 等速ジョイントがカップ内でどのように座っているかがわかります。ここからさらにバンプするとなると、、、もうお分かりになるでしょう。
逆に、過度なリアキャンバーが付いた車両などでは、スプリングレートを上げ、ストローク量をなるべく抑えた状態でも、等速ジョイントが底付き(ドン付き)するような状況が生まれ、こちらも破損に繋がってしまいます。
もし、あなたがドライブシャフト折れに悩んでいるようでしたら、まずはご自分の車両のアライメントやサスペンションジオメトリーが、シャフトに対して負荷をかけていないかをご確認いただくのもトラブルを防ぐうえで重要なポイントといえます。車高調のスプリングのみを取り外し、バンプ・リバンプ時に等速ジョイントに負荷がかかる角度になっていないか確認してみましょう。シャフトブーツが下記画像のようにねじれてしまっている車両は要注意です。
5. 使用するクラッチの圧着力が高すぎる
カッパーミックス素材を採用するクラッチではあまり起きにくいドライブシャフトトラブルも、メタルクラッチ、さらにはツインメタル・トリプルメタルと瞬間圧着力が高くなるにつれてドライブシャフト破損の確率も高くなるといえます。400馬力ほどの車両であれば、ニスモ製スーパーカッパーミックスクラッチなど、必要となる一定以上の圧着力を維持しつつも、ドライブトレインに優しいカッパーミックス素材を採用したクラッチを視野にいれてみてください。ORC社では、SEクラッチと呼ばれるプレッシャープレートリングにダンパーが装着されたラインナップもございます。
尚、高圧着メタルクラッチの使用をしつつ、瞬間的な圧着力を下げ、ドライブトレインへのダメージを低減させたい場合、Clutch Masters製 クラッチフルード フローコントロールバルブを使用することで、駆動系の損傷を防ぐという方法もございます。
6. 乗り方
日本のドリフトサーキットには駆動系に負担がかかるレイアウトが多く存在します。代表としていえるのが、名阪スポーツランド・エビス西サーキット・日光サーキットなど。これらに共通していえるのが最大レベルにリア過重になった状態からのクラッチキック。さらには進入直後に大きな角度をつけて減速をし、90度近くまたはそれ以上のコーナー出口に向かって車両を旋回させるレイアウトです。こういったコーナーアークでケツ進入などを試みてしまった際には等速ジョイントは大きな悲鳴を上げているでしょう。さらには油圧サイドブレーキなどで瞬間的にロックしたリアタイヤに対し、高回転でクラッチをつないでリアタイヤをブレイクさせる。これらの動きは日産自動車がドライブシャフトを設計する際、全く予期していなかった不可がかかっているといえます。
と、破損に関する可能性についての前置きが長くなってしまいましたが、こちらでご紹介するドライブシャフト トラブル対策はこちら。
A. ドライブシャフト CV等速ジョイントに負荷をかけない長さをアダプターを使って見つけ出す
こちらは4番でご紹介したドライブシャフト長が足りてない車両のみの解決策といえます。今、あなたの車両がバンプ・リバンプ時に等速ジョイントが引っ張られることによりドライブシャフトの伸縮長に限界が生じ、破損が発生している可能性が高い場合はドライブシャフトスペーサーをおすすめいたします。
サイドフランジとドライブシャフトの間に挟み込むタイプのスペーサーもマーケットには存在しますが、これらは取り付けボルト長が長くなってしまうことからボルト自体の破損が発生してしまうことがあり、弊社ではあまりお勧めしていません。
おすすめなのは、ハブ側にいれるスペーサー。弊社ではgktech製 ドライブシャフトスペーサーを推奨しております。長さはそれぞれ、5mm / 10mm / 15mmからお選びいただけます。ばね下重量ならびに回転慣性への影響を最小化するためアルミで作られたこちらのスペーサーは、3タイプのスペーサー厚からそれぞれのセットアップに対し必要な厚さをお選びできます。
純正比25mmローダウン車: 5mmスペーサー推奨
純正比50mmローダウン車: 10mmスペーサー推奨
社外ロアアームやS14/S15リアメンバーを装着したS13系車両: 15mmスペーサー推奨
画像内、ホイールハブとドライブシャフトの間にある赤のパーツがこちらのスペーサーの取り付け場所となります。
B. Z33 フェアレディZ 純正ドライブシャフトを流用する
今回の該当車両は400馬力ほどの車両ということでZ33 純正ドライブシャフトの流用もおすすめの一つとしてご紹介いたします。
まず、Z33純正ドライブシャフト流用に関して念頭に置いておかなければならない点は2つ。
手に入りやすいこと
劇的な強度アップは見込めないこと
シルビア系シャフトの流通が減り、それによって価格高騰が起きる今、Z33純正ドライブシャフトは中古での仕入れが容易で、解体屋さんなどでも購入することが可能です。
では、シルビア系純正シャフトとZ33純正シャフトの違いについて説明していきます。
こちらはシルビア系 6穴サイドフランジ 純正ドライブシャフトの3D展開図。ご覧の通り、等速ジョイントは3点のボールベアリングが支点となっています。
続いて、Z33純正ドライブシャフトの展開図。
こちらの図で見てわかる通り、3点支持のシルビア系に対し、Z33シャフトは6点支持。しかし、実はこの構造。シルビア系5穴サイドフランジ ドライブシャフトとほぼ同様の構造です。シルビア系5穴ドライブシャフトは、6穴シャフトに比べて強い、といわれる理由はこちらの等速ジョイントの支点数にあります。よって、上記で劇的な強度アップには繋がらない、と説明させていただいております。
アウタースプライン数(ホイールハブ側)も、シルビア系純正と同様の為、シャフト破損時にハブ側を折ってしまう方にとって、Z33純正ドライブシャフトの流用は抜本的な改善にはならないといえます。
カップ側、等速CVジョイント側での破損が生じる車両に関しては、シルビア系5穴ドライブシャフトの入手が非常に困難になった今、Z33純正ドライブシャフトの流用はおすすめの一つといえるでしょう。BNR32 GT-Rドライブシャフト流用より、低価格に手軽に採用可能です。
続いて、Z33純正ドライブシャフト流用の方法について
こちらは大きく分けて2つございます。シルビア純正サイドフランジに挟み込みのスペーサーを装着し、Z33純正ドライブシャフトを装着する。
もしくは
純正サイドフランジにアダプタープレートを溶接し、Z33純正ドライブシャフトを装着する。
まず、弊社では前者の取り付け方法をお勧めしておりません。理由は、ボルトの数が2倍になること(挟み込みは純正の12本の倍、24本のボルトを使用します)と挟み込みスペーサーの厚さ分、サイドフランジがハブ側に飛び出るため、ドライブシャフトの底付きが発生しやすいことです。(Z33シャフトはシルビア系シャフトに比べてわずかに長い)
弊社では、後者の溶接アダプターでの流用を推奨しております。サイドフランジの加工が必要になりますが、正しくZ33純正シャフトを流用できます。
加工方法の参考をこちらにてご紹介させていただきます。
まずは、現在ご使用されているサイドフランジのフランジ部を切り落とします。
サイドフランジは非常に多くの種類がございますので、現在装着中の現物を加工されることをお勧めいたします。
フランジ部を切り落としたのち、残ったフランジタブの外径が、サイドフランジアダプターの外径にぴったり合うように旋盤などで外径調整を行います。アダプターがフランジタブにぴったりはまることによって、アダプターが正しく水平に取り付けられ、強度も増しますのでここでの作業は時間をかけて慎重に行っていただきます。
旋盤で外径調整をしたフランジタブに、アダプタープレートがぴったりとはまりました。
その後、一周にわたって溶接していきます。この際、一気に熱をいれてしまうとフランジが沿ってしまい振れが生じてしまう可能性がございますので溶接時の熱管理にはご注意ください。
尚、スチール製アダプターの為、溶接後塗装していただくことをお勧めいたします。フランジは内外ともに溶接していただきます。内側に関しては溶接ビードが高すぎるとドライブシャフトの段付きに干渉してしまう場合がございますのでご注意ください。
理想は、各車両に合わせアダプターをサイドフランジに溶接する際、どの位置関係で溶接するかを入念に確認いただくことでシャフトの長さ足らずによるトラブルを解消することができます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回はニッサン S13、S14、S15、180SXのドライブシャフトに関するお話をさせていただきました。今後もこのような情報を発信してまいりますので、是非とも弊社メルマガにもご登録いただけましたら幸いです。ご質問等ございましたらこちらよりお気軽にお問い合わせください。
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しゃふと屋 パーツリサーチ担当
ミスターX